こんにちは、退院調整看護師のさやみんです。

現在日本では糖尿病の患者数は約200万人以上と推定され、高齢者のほとんどが糖尿病を抱えている状態です。

また認知症も年々患者数が増えており、今後の日本の大きな課題となっています。

そんな日本を代表する二つの疾患ですが、この糖尿病と認知症を合わせ持ってる患者さんは少なくありません。

実際に入院して何かしらの治療をしていると、糖尿病が悪化しインスリンが導入となるケースも多く、いざ自宅に帰ろうとすると、「認知症があるため自宅で生活ができない」という患者さんも多くいらっしゃいます。

私は現役の看護師ですが、そのような方にはどのように対応しているのか、また自宅に帰る基準とその対応について今回はお伝えしていきたいと思います。

インスリン管理を怠る恐ろしさ

「糖尿病にはインスリン」と当たり前のように考えていますが、インスリンの管理を適切に行わないと命に関わるリスクもあることをご存知でしょうか?

インスリン注射は「単位」と呼ばれる数量が決められており、医師の指示された通りに投与する必要性があります。

たとえその単位を間違えて多く打ってしまうと、低血糖によりめまいや冷や汗、吐き気、さらに重症化すると意識障害に陥り、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。

なので私たち看護師は病院で管理する際には、看護師単独ではインスリン投与は絶対に行わないことになっています。

ダブルチェックといって1人の看護師がインスリンを準備し、別の看護師がその数量を目で見て医師の指示と合っているかどうかを2人で確認する方法を取っているところがほとんどです。

その理由は上記で説明したとおり、命に関わるリスクがあるとても危険な薬剤だからです。

病院でもインスリンは鍵のついた冷蔵庫に入れており、防犯の面でもとても管理が徹底されています。

このような危険でリスクの高いインスリン注射を在宅で認知症の方が行うとなると、どのような危険があるかはある程度想像ができますよね?

実際に救急患者さんの中には、在宅でのインスリン管理が適切にできず、低血糖に陥った状態で運ばれてくる方も少なくありません。

ですのでインスリン管理については「多くの人がやっているから」などと安易に考えずに本人に管理能力があるかということをしっかり検討し、適切な対応をとっていくことが必要です。

認知症の方がインスリンを管理するリスク

普通の方でもかなり慎重に投与しなければいけないインスリンですが、認知症の方の場合、判断力や記憶力が低下してするため更にリスクが高くなってきます。

上記のようにインスリンの投与の単位を間違えることも当然ありますし、インスリンが投与できたとしても、その後ご飯を食べたかどうか忘れてしまうと適切な血糖コントロールができなくなってしまいます。

またインスリンを打ったまま、何も食べずにいると意識障害など重症な症状が起こりやすくなってきます。

認知症は日々進行していく疾患です。

今現在は軽度の認知症だとしても、必ず時間の経過と共に症状は進行していき、家族がそばにいなければご本人がどんな状態になっているかも把握がしづらい状態になっていきます。

「父や母はまだ大丈夫だから」

と安心しきっていると、知らないうちに認知症が進行し、適切な、糖尿病のコントロールがままならずに重症化してしまったということにもなりかねません。

認知症もそうですが、糖尿病も徐々に進行をしていきます。

適切な血糖コントロールが維持できていれば進行を遅らせることもできますが、適当な自己管理で血糖コントロールが不安定になってしまうと糖尿病が進行し、腎不全失明、最悪の場合足を切断するという事態にもなりかねません。

そもそも糖尿病の方は生活習慣病といわれるとおり、日々の日常管理がなかなかうまくできていない方が多く、そのような方が自分だけでインスリンの自己管理をするとなると、なかなか適切な管理が継続しにくい現状があります。

病院ではどのように対応しているのか

まず病院に入院中の場合、認知症で自宅でインスリン管理する必要がある方の場合には、まず入院中から看護師がご本人に管理ができるように指導と観察を行います。

まずはご本人がインスリンの管理をしてみて、どの程度理解をしていて、どの程度適切にできるのかの観察をさせていただきます。

その上で、看護師や医師などと会議を行いながら、「この方は自宅に帰っても適切にコントロールできるのか」といった視点で考察し、もし自己管理できないようであれば、家族のサポートを増やしたりや施設入所や介護サービスなどの利用を検討していくことになります。

利用できる介護サービスとは

介護保険のサービスは、介護申請をして要支援や要介護といった介護認定を受けなければサービスを利用することはできません。

介護申請をして、介護度が出た場合には

  • ヘルパー
  • デイサービス

などのサービスを利用し、インスリン管理を見守る体制を作っていくことが可能です。

今では要支援である程度自立しているような方でもサービスが利用できるようなケースもありますが、その場合でも限度額が限られているため、毎日の訪問などは難しいのが現状です。

しかもヘルパーなどの介護職では、見守ることは出来ても、インスリン注射という医療行為に対して手出しや指導することは出来ないため直接的にサポートすることができません。

そこでオススメなのが訪問看護を利用したサービスです。

入院中の場合には退院後に最長で2週間毎日看護師が自宅に訪問し、インスリンが適切に注射できているか、血糖コントロールは適切かなどの観察をしてくれることもできます。

この訪問看護は、介護保険を利用しなくても医療保険から使うこともできるため、まだまだ元気で自分で動けているような認知症の方でも利用しやすいサービスと言えます。

自宅でインスリン注射をする場合には多くのサポート体制を作ることが重要

ここまでインスリンの管理の重要性やリスクについてお伝えしてきましたが、自宅で認知症の方が自分でインスリンの管理をしていく際には何かしらのサポートと周囲の見守りが必要不可欠となってきます。

「多分できるだろう」ではなく、「これなら大丈夫」という状況までしっかり家族がサポート体制を整えてあげることが必要です。

そのためには入院中などは、相談窓口などで早期から相談をし、ケアマネージャーがいれば担当ケアマネージャーさんに相談をするなどしてできるサービス利用できるサービスなどを情報収集していくようにしましょう。

ケアマネについてはこちら。

インスリン管理については安易に考えることなく慎重に適切に実施できるようにしていってください。

 

 

インスリン管理は施設でもできる?

老人ホームなどの介護施設でのインスリン管理はどうなのでしょうか?

老人ホームのような施設では看護師が日中などはほとんど在中しているため、看護師のサポートをうけられるため安心して過ごすことができます。

自宅でひとりでインスリン管理を続けていくことに不安がある場合には、この機会に施設入居を検討してみてもいいかもしれません。

実際にインスリン管理ができずに施設入居となる患者さんは少なくありません。

自分で動けていて、生活ができるような方であれば

などが費用も介護付きのタイプよりも抑えられるためおススメです。

気になった方は自宅地域の老人ホームを検索してみて下さい。

私も仕事で利用している施設検索サイト「ライフル介護」なら施設を探しやすくておススメです。

まとめ

認知症も糖尿病も、日々進行していく疾患であり、遠く離れた場所に住んでいるご家族はそんな本人の生活状況を把握することが難しくなります。

その間に認知機能が低下、そして糖尿病も進行し、インスリンも必要な状態になってしまうと知らないうちに不適切な自己管理で命に関わる事態にもつながりかねません。

インスリン注射は上記で書いた通りとてもリスクのある行為です。

 

ですのでご家族が危機感を持って、生活のサポート体制を積極的に見直していってください。

介護保険のサービスや、施設入居も視野に入れながら、本人が安心して過ごせる場所を提供していきましょう。

まだ自宅ですごしたい!いう方の場合には、緊急時の駆けつけ体制もついている新しい見守りサービス「遠くても安心プラン」を使ってみてもいいかもしれません。